「最近はなかなか利用者さんを集められなくなってきた・・・」と悩まれている就労継続支援B型の経営者の方もいらっしゃると思います。
本記事では、就労継続支援B型の「利用者が集まらない理由」と「利用者の集め方」に関して分かりやすくご説明します。
就労継続支援B型事業所をめぐる現状
まずは「就労継続支援B型事業所の利用者を集める」という視点から、就労継続支援B型事業所が現在おかれている状況を整理しておきましょう。
就労継続支援B型事業所の数
就労継続支援B型事業所の数は年々増加傾向にあります。
平成24年(2012年)には7,494ヶ所だった事業所数が10年後の令和4年(2022年)には15,748ヶ所と2倍以上になっています。
利用者の数が増えていることもあるのですが、これだけ就労継続支援B型事業所の数が増えてくると、利用者さんを集めることが以前よりも難しくなっているとも言えます。
このような流れの中で、就労継続支援B型事業所の利用者さんを集めるためにはどのような対策が必要になるかを分かりやすくご説明したいと思います。
就労継続支援B型に利用者が集まらない5つの理由
就労継続支援B型事業所の利用者が集まらなくて悩まれている経営者の方もいらっしゃると思います。
利用者を集める前に、まずは利用者が集まらない理由を整理して、どこに問題があるのかを明確にしてから対策をたてていきましょう。
就労継続支援B型事業所に利用者が集まらない理由には以下のような原因が考えられます。
【理由1】事業所の存在を知られていない
ここ数年は新規の就労継続支援B型事業所の立ち上げも増えているため、こちらから情報を発信していかなければ、気付いてもらえないということもあります。
何もしていないのであれば、あなたの事業所の存在が知られていない可能性があります。
【理由2】作業内容に興味をもたれていない
単調な作業や魅力を感じにくい作業内容だからこの事業所を利用したいと感じられないと思われている可能性があります。
また、工賃が低すぎると、経済的な理由から利用をためらう人がいるかもしれません。
【理由3】利用者へのサポート体制に対する不安
どのような就労に必要なスキルアップ支援をしているのか分からないと、将来の展望が見えにくく、利用意欲が低下する可能性があります。
スタッフの方が障害特性への理解や支援スキルをもたれているか分からないので、不安で利用できないということも考えられます。
利用者一人ひとりのニーズに合わせた個別支援計画が作成されているかも重要なポイントです。
【理由4】人間関係に対する不安
スタッフがどのような人なのか分からないので、利用をためらっている方もいる可能性があります。
利用者同士でのトラブルなども心配される方もいらっしゃると思います。
【理由5】地域との連携不足
地域の福祉関係機関や医療機関との連携が不十分だと、利用者を紹介してもらえない可能性があります。
地域住民との交流や地域貢献活動が少ないと、地域に根差した事業所として認知されにくく、利用者が集まりにくい場合があります。
自分の就労継続支援B型事業所の「強み」を整理する
あなたの就労継続支援B型事業所に利用者さんが集まらない原因を推測したところで、利用者さんを集める対策をたてていきましょう。
ただ、就労継続支援B型事業所の利用者を集める対策をたてる前に、あなたの「事業所の強み」を整理する必要があります。
他の事業所と比べて、何故あなたの事業所に通うとメリットがあるのかを伝えるために、あなたの事業所の強みを明確にしましょう。
【強み1】事業所の理念・ビジョン
まずは、あなたの事業所の理念やビジョンを書き出しましょう。
少し形式ばった感じの経営理念を作られている事業所もあるかもしれません。
例えば「利用者の個性と意思を尊重して、働くことを通じて、利用者のやりがいと居場所を提供します」という経営理念だったとします。
これだけでは、どのようにして利用者の個性と意思を尊重しているのか、どのようにしてやりがいと居場所を提供しているのかがイメージできない人もいると思います。
利用者さんにとっては、どれだけ素晴らしい経営理念あっても、それがどのように活かされているかということ重要なのです。
どのような利用者に、どのように寄り添い、どのような支援を提供しているか等、日々の業務の中でどのように経営理念が活かされているのかをスタッフ全員で話し合って、まとめてみるのも良いと思います。
【強み2】事業内容・サービス
次に提供しているサービスをまとめていきます。
ここで注意しなければいけないのが、先程の理念・ビジョンに基づいたサービスであるという点です。
個別支援計画の作成、就労訓練、生活訓練、相談支援、食事、送迎などさまざまなサービスを提供されていると思います。
これらのサービスを理念やビジョンに基づいてどのように提供しているかをまとめてみると良いと思います。
【強み3】スタッフ
利用者さんにとってスタッフの方に関する情報はとても興味があると思います。
お写真やプロフィールなどがあれば良いのですが、ホームページやチラシなどに写真は載せたくないという方もいらっしゃると思います。
その場合は、仕事をしている時に心掛けていることや、仕事をしていて感じるやりがいなど、写真は使わずに掲載しても良いです。
また、スタッフの人数、どのような専門資格や経験を持っているか、スタッフの体制や研修制度などの情報もまとめてみると良いと思います。
スタッフの情報のまとめ方に関しては『「スタッフの紹介文」をホームページに掲載した方が良い3つ理由』で詳しくご説明していますので、是非ご参照ください。
【強み4】支援体制
個々の利用者さんに合わせた、どのような支援体制を構築しているかという情報もあると良いと思います。
個々の利用者さんの目標達成に向けた具体的な支援内容などがあればイメージしやすくなります。
【強み5】施設・設備
事業所の施設・設備も気になるポイントです。
利用者さんが快適に過ごせる環境づくりについてどのような工夫をしているか、安全対策についてどのような取り組みをしているか等をまとめてみましょう。
【強み6】実績
どのような障がいがある方が通所されているかや、どのような就労形態への移行実績があるか等、事業所の利用者の実績についても整理しましょう。
今度のサービス向上のためにも、利用者さんへ満足度調査をおこなうのも良いと思います。
その満足度調査の結果で良かったものを今までの実績の一つとして紹介しましょう。
自社の強みを知る方法
自社の強みを知るためには、他社にはどのような強みがあるかを知ることも重要です。他社の強みを知る方法は『競合の就労継続支援B型事業所のホームページを調査する』のページでも詳しくご説明していますので、是非ご参照下さい。
就労継続支援B型に利用者を集めるための3つの準備
それでは、具体的にどのようにして就労継続支援B型事業所に利用者を集めるのかをご説明したいと思います。
【利用者を集めるための準備1】存在を知ってもらうためのツール
原因1でもご説明しましたように、あなたが事業所の告知活動を何もしていなかった場合、あなたの事業所の存在が知られていない可能性があります。
あなたの事業所を知ってもらうために、以下のようなツールを用意しましょう。
ホームページ
ホームページの一番の強みは、たくさんの情報を掲載できることです。
ホームページには「あなたの就労継続支援B型事業所の強み」でお伝えした、事業所の理念・ビジョン、事業内容・サービス、スタッフ、サービス支援体制、施設・設備、実績など全て情報を細かいところまで掲載することができます。
これをパンフレットで掲載しようとすると数十、数百ページになってしまう可能性があります。
インスタグラムやX(twitter)はその時その時の情報を発信できますが、ホームページのような全体の情報を発信することには向いていません。
ホームページは単体でも集客効果がありますが、SNSやチラシなどと組み合わせることで、さらに集客効果を出すことが出来ます。
SNSやチラシからホームページを見に来た人は、あなたの事業所に興味を持っている方です。
それは利用者さんかもしれませんし、利用者さんのご家族かもしれませんし、あなたの事業所とはまだ接点がない相談支援専門員かもしれません。
ホームページはあなたの事業所がどんな事業所なのかを分かってもらうために、できるだけたくさんの情報を発信する「情報発信の土台」としての役割があります。
SNS
SNSは、テキスト、画像、動画など、様々な形式で情報を発信することができます。
また、リアルタイムで情報を更新できるので、最新情報を発信しやすいというメリットがあります。
新規ユーザーの場合、ホームページは検索エンジンからの流入が中心となりますが、SNSは短期間で拡散して情報を届けられる可能性もあります。
2024年7月時点での各SNSのユーザー数は以下のようになっています。
それぞれ特徴がありますので、自分達で継続して情報発信でそうなものから始められるといいでしょう。
6,600万人以上 | 10代20代が多く、女性が過半数 | |
X | 6,650万人以上 | 20代が多い |
YouTube | 7,120万人以上 | 幅広い年齢層で使われている |
2,600万人以上 | ビジネスの30代以上が多い |
SNSの活用方法に関しては『就労継続支援B型事業所のSNSの活用方法』で詳しくご説明していますので、是非ご参照ください。
Googleビジネスプロフィール
Googleで「〇〇市(あなたの事業所のある市町村) 就労継続支援B型」と検索したことはありますでしょうか。
検索をするとGoogleマップといくつかの事業所名リンクが表示されます。
ここに表示されるようにすることをMEO対策といいます。
表示されるようにするためにはいろいろな対策が必要なのですが、まずは対策の一つとしてGoogleビジネスプロフィールへの登録はしておきましょう。
Googleビジネスプロフィールに関しましては『Googleビジネスプロフィールを活用する』のページで詳しくご説明していますので、是非ご参照ください。
チラシ・パンフレット
スマートフォンやパソコンをあまり利用していないという方へはチラシやパンフレットでのアプローチが効果的です。
チラシやパンフレットの内容が気になった場合、すぐに連絡をしなくても、手元に置いておかれる可能性があります。
また、相談支援事務所やイベント会場などにチラシやパンフレットをおかせてもらうなど、ホームページやSNSでは届けられない層へ情報を届けることができます。
【利用者を集めるための準備2】興味をもってもらえる情報を整理する
事業所を知ってもらうためのツールを用意したところで、次はそのツールにどのような情報を掲載するかが重要になります。
まずは、どのような情報が利用希望者に興味を持ってもらえるかを考え、どのように伝えるかを工夫しましょう。
例えば、単調で魅力を感じないと思われる作業であっても、伝え方によっては興味を持ってもらえる可能性があります。
ここでは、一つの例として「単調で魅力を感じないと思われる作業に興味を持ってもらう伝え方」をご紹介します。
作業の意義や目的を明確に伝える
単純な製品の組み立て作業であっても、「この製品は○○のような人の役に立つ」「環境に優しい製品作りに貢献できる」といった社会貢献性を強調することで、作業の意義を感じてもらいやすくなります。
「○○のスキルを習得するための作業です」のように具体的な目標を設定することで、興味に繋がります。
作業の過程や成果を見える化する
作業の各工程を丁寧に説明し、全体の作業の流れを理解してもらうことで、作業への興味関心を高めます。
完成品を展示したり、利用者の作品を紹介するコーナーを設けたりすることで、自分の仕事の成果を実感し、達成感を感じてもらうことができます。
また、実際に作業に取り組んでいる利用者の声を紹介することで、作業の楽しさややりがいを伝えます。
作業の工夫やスキルアップの機会を伝える
作業の進め方や道具の使い方などを工夫することで、作業の効率化や質の向上を図り、達成感を感じやすくします。
作業を通して習得できるスキルや、資格取得支援などのスキルアップの機会を伝えることで、将来の目標やキャリアプランに繋げることができます。
様々な作業内容を用意し、利用者が自分の興味や適性に合わせて作業を選べるようにすることも興味をもってもらえる可能性があります。
【利用者を集めるための準備3】利用者の不安を取り除く情報を整理する
あなたの就労継続支援B型事業所への通所を検討していて、情報が足りずに不安を感じている方もいらっしゃると思います。
通所を検討されている方の不安を取り除くような情報を発信することで、事業所を利用してもらえるようになることもあります。
利用者さんが感じる不安には、「就労継続支援B型に利用者が集まらない原因」でご紹介した「利用者へのサポート体制に対する不安」や「スタッフに対する不安」「利用者同士の人間関係に対する不安」以外にも、「設備に対する不安」や「立地に対する不安」など、さまざまな不安があります。
就労継続支援B型事業所の利用者の悩みに関しましては『就労継続支援B型の利用者の悩み』で詳しくご説明していますので、是非ご参照ください。
ここでは「スタッフに対する不安」を例にして、不安を取り除く情報発信の方法をみてみましょう。
スタッフに対する不安を取り除く
就労継続支援B型事業所への通所を検討されている方の「就労継続支援B型事業所のスタッフに対する不安」を取り除くには、以下の3つの情報を掲載するとよいでしょう。
1.人柄で安心してもらう
仕事に対しての想いや資格も重要な情報ですが、まずはスタッフの方の人柄を知ってもらうことが大事です。
スタッフの顔写真や経歴、支援に対する思いなどを掲載することで、利用者は安心して利用を検討できます。
2.仕事に対する姿勢で安心してもらう
スタッフの仕事に対する姿勢を感じて、「ここで働いてみたい」と思ってもらえる可能性が高まります。
具体的なエピソードを書いて、スタッフの想いや経験を分かりやすく伝えましょう。
3.専門性で安心してもらう
スタッフの資格や経験を紹介することで、専門性の高さをアピールしましょう。
利用を検討している人にとっては、自分に合った支援を受けられると感じて安心できます。
利用希望者の不安を取り除くための情報
以下のページでは、利用希望者の不安を取り除くための情報の書き方をご紹介していますので、是非ご参照下さい。
就労継続支援B型に利用者を集める方法
事業所の情報を整理して、その情報を発信するツールがそろったら、具体的に利用者を集める活動を始めていきましょう。
【利用者を集める方法1】見学会を開催する
就労継続支援B型事業所への通所を考えている人に、あなたの就労継続支援B型事業所を候補に入れてもらうためには、「見学会」を実施することは以下のような理由から非常に効果的です。
(※見学会に関しましては『利用者を集めるための「見学会」を分かりやすくご説明します』の記事でも詳しくご説明していますのでご参照下さい。)
【利用者が集まる理由1】具体的なイメージを持ってもらえる
ホームページやパンフレットを見て興味を持ってもらってから見学会に参加してもらうと、ホームページやパンフレットだけでは伝わりにくい、事業所の雰囲気や実際の作業内容、他の利用者の様子などを直接見たり体験したりすることができ、さらに効果的です。
利用希望者は見学会に参加することで、ホームページやパンフレットで知った情報に加えて、具体的なイメージを持つことができます。
障害のある方やそのご家族は、安心して利用できる事業所か、自分に合った支援を受けられるかなど、不安を感じている方は多くいらっしゃいます。
見学会を通して、そうした不安を解消し、安心して利用を検討してもらうことも見学会が重要になる理由の一つです。
【利用者が集まる理由2】直接質問や相談をしてもらえる
見学会では、スタッフに直接質問したり、個別の相談をしたりする機会を設けることができます。
利用希望者は、ホームページやパンフレットを見て感じた疑問点を解消したり、不安を軽減したりすることで、利用への意欲を高めることができます。
【利用者が集まる理由3】他の利用者と交流してもらえる
見学会では、他の利用者と交流する機会を設けることで、利用希望者は、同じような境遇の仲間と出会うことができ、安心感や居場所感を抱くことができます。
また、先輩利用者から話を聞くことで、事業所での生活や仕事について具体的にイメージし、利用へのモチベーションを高めることができます。
【利用者が集まる理由4】地域とのつながりを築く
見学会は、地域住民や関係機関に事業所をPRする良い機会となります。
地域とのつながりを築くことで、利用希望者の紹介や、ボランティア、企業との連携など、様々な支援を得ることができる可能性があります。
【利用者が集まる理由5】利用希望者の声を反映
見学会を通して、利用希望者から意見や要望を聞くことで、事業所運営の改善に役立てることができます。
利用者のニーズを把握し、それに合わせた支援を提供することで、より満足度の高いサービスを提供することができます。
【利用者を集める方法2】相談支援専門員に営業をする
利用者の状況や希望に合ったB型事業所を提案したり、利用手続きをサポートしたりする相談支援専門員にあなたの事業所を知ってもらうことは非常に重要です。
相談支援専門員は、地域の関係機関とのつながりが強いため、B型事業所に関する最新の情報を持っている可能性が高いです。
また、B型事業所との連携も密に行っている場合があり、利用者の受け入れ状況などを把握していることもあります。
相談支援事業所にあなたの就労継続支援B型事業所の紹介に行く際には以下のような情報をホームページやパンフレットにまとめておきましょう。
- あなたの事業所の「基本情報」
- あなたの事業所の「作業」
- あなたの事業所の「支援」
- あなたの事業所の「地域との繋がり」
- あなたの事業所に通う「利用希望者のメリット」
- あなたの事業所の「実績」
(※相談支援専門員に伝えるべき情報に関しては『利用者募集をするために相談支援専門員に伝える6つの情報』の記事で詳しくご説明していますので、是非ご参照ください。)
まとめ
本記事では「就労継続支援B型の利用者の集め方」を説明させていただきました。
今後ますます就労継続支援B型事業所が増えると予想される中で、あなたの事業所の強みをさらに磨いて、さらに広く知ってもらうことを続けていくことが、事業を継続していく上での重要なポイントになると思います。
当社では、就労継続支援B型事業所のホームページの無料相談もお受けしています。
「ちょっと、ここを聞いてみたいな」と思われた方はお気軽にお問い合わせ下さい。