就労継続支援B型事業所への通所を考えている人に、あなたの就労継続支援B型事業所を候補に入れてもらうためには、「見学会」を実施することは非常に効果的です。
なぜ見学会が利用者を集めるために効果的なのか、どのような見学会にすればよいのかを分かりやすくご説明したいと思います。
利用者さんを集めたい経営者の方へ
就労継続支援B型事業所の利用者さんの集め方に関しては『就労継続支援B型の利用者の集め方』のページで詳しくご説明していますので、是非ご覧ください。
就労継続支援B型事業所の見学会とは
就労継続支援B型事業所の見学会とは、利用を検討している方やそのご家族、支援者などが、実際に事業所を訪れ、施設内を見学したり、スタッフから説明を受けたり、利用者と交流したりする場です。
実際に事業所を見学することで、利用希望者はサービス内容や雰囲気を具体的に理解し、安心して利用を検討できます。
また、見学を通じて、利用希望者が抱く疑問や不安を解消し、利用へのハードルを下げることができます。
利用者を集めるために見学会を実施する5つの理由
「利用者を集めるために、そんなに見学会が重要なの?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
見学会は利用者を集めるためには非常に重要です。
なぜ利用者を集めるために見学会が重要なのかを、わかりやすくご説明したいと思います。
【理由1】具体的なイメージを持ってもらえる
見学会に参加してもらうことで、パンフレットや説明だけでは伝わりにくい、事業所の雰囲気や実際の作業内容、他の利用者の様子などを直接見たり体験したりすることができます。
そのため、利用希望者は見学会に参加することで具体的なイメージを持つことができます。
障害のある方やそのご家族は、安心して利用できる事業所か、自分に合った支援を受けられるかなど、不安を感じている場合が多いです。
見学会を通して、そうした不安を解消し、安心して利用を検討してもらうことも見学会が重要になる理由の一つです。
【理由2】直接質問や相談をしてもらえる
見学会では、スタッフに直接質問したり、個別の相談をしたりする機会を設けることができます。
利用希望者は、疑問点を解消したり、不安を軽減したりすることで、利用への意欲を高めることができます。
【理由3】他の利用者と交流してもらえる
見学会では、他の利用者と交流する機会を設けることで、利用希望者は、同じような境遇の仲間と出会うことができ、安心感や居場所感を抱くことができます。
また、先輩利用者から話を聞くことで、事業所での生活や仕事について具体的にイメージし、利用へのモチベーションを高めることができます。
【理由4】地域とのつながりを築く
見学会は、地域住民や関係機関に事業所をPRする良い機会となります。
地域とのつながりを築くことで、利用希望者の紹介や、ボランティア、企業との連携など、様々な支援を得ることができる可能性があります。
【理由5】利用者の声を反映
見学会を通して、利用希望者から意見や要望を聞くことで、事業所運営の改善に役立てることができます。
利用者のニーズを把握し、それに合わせた支援を提供することで、より満足度の高いサービスを提供することができます。
利用者を集めるための「見学会」の開催準備
見学者は初めて事業所を訪れるため、緊張している場合が多いです。
常に利用希望者の気持ちに寄り添い、安心して見学できるよう配慮することが大切です。
見学会は、利用希望者と事業所にとって、お互いを理解し合う貴重な機会です。
利用希望者に雰囲気や作業内容などをより深く理解してもらうために、以下の点に注意して準備、開催、フォローをしていきましょう。
【見学会のポイント1】事前に準備するべきこと
見学会の開催のために、どのような事前準備が必要になるのかをご説明します。
見学内容の明確化
見学ルート、体験できる作業内容、所要時間などを事前に伝え、利用希望者が安心して参加できるよう配慮しましょう。
以下のような内容を整理しておきましょう。
基本情報
- 開催日時: 具体的な日時(開始時間と終了時間)を明記し、複数の候補日を設けることも検討しましょう。
- 開催場所: 事業所の住所や最寄り駅からのアクセス方法、地図などを掲載し、分かりやすく案内しましょう。
- 対象者: どのような方を対象としているのか(障害種別、年齢層、支援者同伴の有無など)を明記しましょう。
- 参加費: 無料の場合はその旨を明記し、有料の場合は料金と支払い方法を記載しましょう。
- 予約方法: 電話、メール、ホームページなど、予約方法を具体的に記載し、連絡先を明記しましょう。
- 定員: 定員がある場合はその旨を明記し、締め切り日を記載しましょう。
見学会の内容
- プログラム: 事業所概要の説明、施設見学、作業体験、質疑応答など、見学会で行われる内容を具体的に記載しましょう。
- 所要時間: 見学会にかかる時間を明記し、参加者が予定を立てやすいようにしましょう。
- 体験できること: 具体的な作業体験の内容や、利用者との交流の機会があるかなどを記載しましょう。
- 持ち物: 特に必要な持ち物があれば記載しましょう。(筆記用具、飲み物など)
- 服装: 特に指定がなければ、動きやすい服装でOKであることを記載しましょう。
配慮事項の確認
就労継続支援B型の見学会では、利用希望者が安心して参加し、見学内容を十分に理解できるように、事前に以下の障害特性や配慮事項を確認することが重要です。
具体的には以下のような点を確認しておくと良いでしょう。
身体的な配慮事項
- 移動: 車椅子利用の有無、歩行の困難さ、階段の上り下りの可否など。
- 視覚: 視覚障害の有無、弱視、視野狭窄など。
- 聴覚: 聴覚障害の有無、補聴器の使用、手話通訳の必要性など。
- その他: 持病やアレルギー、体調の変化に注意が必要な点など。
知的・精神的な配慮事項
- 知的障害: 理解力や集中力、コミュニケーション能力など。
- 発達障害: 注意欠陥多動性障害(ADHD)、自閉スペクトラム症(ASD)など、特性に応じた配慮が必要な点。
- 精神障害: うつ病、不安障害など、精神状態に配慮が必要な点。
- その他: トラウマ、感覚過敏など、特定の刺激に配慮が必要な点。
その他の配慮事項
- 介助者の同伴: 介助者の同伴が必要な場合、その旨を確認し、必要なスペースや設備を確保する。
- コミュニケーション: コミュニケーション方法(口頭、筆談、手話など)や、理解しやすい言葉遣いを確認する。
- 緊急時の対応: 発作やパニックなど、緊急時に備えて対応方法を確認しておく。
- 宗教や文化: 宗教上の理由や文化的な背景から、配慮が必要な点を確認する。
利用者の協力
就労継続支援B型の見学会で、参加者が利用者から話を聞く機会を設ける場合、事前に利用者本人から以下の内容を含む同意を得ておくことが重要です。
見学会での情報共有への同意
- 見学者が利用者と交流する目的: 見学者が利用者から話を聞くことで、事業所での生活や仕事について理解を深めることを目的としていることを説明する。
- 共有する情報の内容: どのような情報を見学者に共有しても良いか、具体的に確認する。(例:氏名、障害の有無、仕事内容、事業所での経験、感想など)
- 共有方法: 口頭での会話、質疑応答、見学者がメモを取るなど、情報共有の方法を確認する。
プライバシー保護
- 個人情報の保護: 氏名や住所など、個人情報を見学者に伝えないことを確認する。
- 写真撮影・録音・録画の可否: 見学者による写真撮影、録音、録画の可否を確認する。許可する場合、どのような目的で利用されるのかを説明する。
- 拒否する権利: いつでも情報共有や交流を拒否できることを伝える。
その他
- 交流時間: 見学者との交流時間や場所について、事前に利用者と相談し、合意しておく。
- 質問内容: 見学者から想定される質問内容について、事前に利用者と共有し、答えたくない質問がある場合は、その旨を伝えておく。
- 支援スタッフの同席: 必要に応じて、支援スタッフが同席し、利用者をサポートする。
整理整頓
施設内を清潔に保ち、整理整頓しておくことは非常に重要です。
もし乱雑な環境であると、以下のように不安を感じられる可能性がありますので、必ず清潔に保ち整理整頓しておくことを心がけましょう。
不安感や不信感
安全面への懸念: 整理整頓されていないと、事故や怪我のリスクが高いと感じる可能性があります。
特に、障害のある方やそのご家族は、安全な環境であることを重視するため、乱雑な環境は大きな不安要素となります。
また、整理整頓ができていないということは、事業所の管理体制がずさんであると捉えられ、利用者へのサポート体制にも疑問を持たれる可能性があります。
不快感
清潔感の欠如: 整理整頓されていないと、清潔感がなく、不快に感じる可能性があります。
特に、衛生面が気になる方にとっては、利用をためらう要因となるでしょう。
プロ意識の欠如
整理整頓されていない環境は、利用者への配慮が欠けていると捉えられ、利用希望者に「ここで本当に安心して過ごせるのか」という疑問を抱かせてしまいます。
専門的な支援を提供する場として、整理整頓されていない環境は、事業所の専門性や信頼性を損なう可能性があります。
スタッフの連携
見学者がスムーズに見学でき、見学後も満足してもらえるようにスタッフで連携しましょう。
具体的には、以下のように連携するのが良いでしょう。
事前準備
- 役割分担の明確化: 各スタッフの役割(受付、案内、説明、質疑応答など)を明確にし、誰がどの部分を担当するかを事前に決めておく。
- 情報共有: 見学者の情報(氏名、障害の有無、同伴者の有無など)や見学内容、スケジュールなどをスタッフ間で共有し、全員が同じ情報を把握しておく。
- 緊急時の対応: 事故や体調不良など、緊急時に備えて対応手順を確認し、連絡体制を整備しておく。
- 見学ルートの確認: 見学ルートを事前に確認し、安全に配慮したルートを設定する。
- 質問対応の準備: よくある質問や見学者の属性に合わせた質問を想定し、回答を用意しておく。
当日の連携
- スムーズな引継ぎ: 受付から案内、説明、質疑応答など、各パートでスムーズに見学者を引き継ぐ。
- 見学者の様子の観察: 見学者の表情や反応を観察し、必要に応じて休憩を促したり、個別に説明したりする。
- 情報共有: 見学者の質問や要望、気になる点などをスタッフ間で共有し、適切な対応につなげる。
- 臨機応変な対応: 予定していた見学内容が変更になった場合や、見学者の体調不良など、状況に応じて臨機応変に対応する。
見学後の連携
- 見学後の感想や要望の共有: 見学者から得られた意見や要望をスタッフ間で共有し、今後の改善に活かす。
- 個別相談への対応: 見学後、個別相談を希望する場合は、担当者を決め、スムーズに対応する。
- 見学後のフォロー: 見学後、お礼のメールを送ったり、電話で連絡を取ったりして、見学者の満足度を確認する。
【見学会のポイント2】当日に提供するべきこと
次に、見学会当日にするべきことをご説明します。
温かい雰囲気作り
見学者を迎える際は、笑顔で明るく挨拶し、歓迎の気持ちを伝えましょう。
名前で呼びかけられることで親近感を感じる方もいらっしゃいます。
アレルギー対応など、事前に確認が必要ですが、季節や天候に合わせた飲み物やお菓子を用意し、リラックスできる雰囲気を作ることも効果的です。
静かすぎると緊張感が高まるため、適度な音量でBGMを流すのも良いでしょう。
わかりやすい説明
どんな質問にも丁寧に答え、不安や疑問を解消することを心掛けて下さい。
専門用語を避け、見学者の表情や反応を観察して、理解度に合わせて説明内容やスピードを調整しましょう。
抽象的な説明ではなく、具体的な事例やエピソードを交えて説明するのも良いです。
写真や動画、図表などを活用して、視覚的に理解しやすい説明をするのも分かりやすいです。
早口にならないよう、ゆっくりと落ち着いて話しましょう。
質問しやすい雰囲気作り
見学会の参加者へ質問を促し、丁寧に回答しましょう。
一方的な説明ではなく、質問や意見交換を通して、利用希望者との信頼関係を築くことが重要です。
見学者の話にしっかりと耳を傾け、共感や理解を示しましょう。
体験機会の提供
作業体験や施設体験の機会を設けましょう。
例えば以下のような作業体験や施設体験が考えられます。
作業体験
- 見学会参加者の障害特性や興味、体力に合わせて、簡単な作業を体験してもらう。
- 作業内容、目的、必要なスキルなどを丁寧に説明する。
- 作業中の利用者と交流する機会を設け、実際の仕事の様子や雰囲気を感じてもらう。
施設体験
- 休憩スペースで飲み物を提供したり、利用者との交流の機会を設けたりする。
- 食堂で昼食を提供し、利用者と一緒に食事をする時間を設ける。
- 事前に希望があれば、送迎サービスを体験してもらう。
個別の対応
利用希望者の様子を見ながら必要に応じて休憩を促したり、柔軟に対応できるようにしましょう。
説明内容に関しても、見学者の障害特性や興味に合わせて、個別に説明内容を調整するなど柔軟に対応しましょう。
プライバシーへの配慮
利用者のプライバシーに配慮し、写真撮影や個人情報の取り扱いには十分注意しましょう。
【見学会のポイント3】見学後にフォローすべきこと
見学会が終わった後にどのようなフォローをするかで、利用者を集められるか集められないかが大きく変わってきます。
見学会の後には必ず以下のようなフォローをしましょう。
アンケートの実施
就労継続支援B型の見学会後は、見学者の満足度や理解度を測り、今後の見学会改善に役立てるために、アンケートをお願いしましょう。
例として、以下のような質問項目を含めることが効果的です。
事業所全体の印象
- 事業所の雰囲気はいかがでしたか?(とても良かった、良かった、普通、悪かった、とても悪かったなど)
- 事業所の清潔感、整理整頓はいかがでしたか?(とても良かった、良かった、普通、悪かった、とても悪かったなど)
- スタッフの対応はいかがでしたか?(とても良かった、良かった、普通、悪かった、とても悪かったなど)
見学会の内容
- 説明はわかりやすかったですか?(とてもそう思う、そう思う、どちらでもない、そう思わない、全くそう思わないなど)
- 見学会の内容は充実していましたか?(とてもそう思う、そう思う、どちらでもない、そう思わない、全くそう思わないなど)
- 特に印象に残ったこと、良かったことは何ですか?(自由記述)
- 改善点や要望があればお聞かせください。(自由記述)
利用意向
- 見学会に参加して、当事業所の利用を検討したいと思いますか?(ぜひ利用したい、利用したい、どちらとも言えない、利用したくない、全く利用したくないなど)
- 利用を検討する上で、他にどのような情報があればよかったと思いますか?(自由記述)
属性情報
- 年齢層:(10代、20代、30代…など)
- 同伴者の有無:(家族、支援者、友人など)
- 障害の有無:(身体障害、知的障害、精神障害、発達障害、難病、その他、なし)
- どこでこの見学会の情報を知りましたか?(ホームページ、チラシ、SNS、紹介、その他)
個別相談
就労継続支援B型の見学会後に、希望者には個別相談も受けるようにしましょう。
見学者が事業所への理解を深め、利用を具体的に検討するために、個別相談はとても重要です。
個別相談では、以下のような内容の相談を受ける可能性がありますので、回答のための準備もしておきましょう。
事業所に関する相談
- サービス内容: 提供されているサービス内容の詳細、具体的な作業内容、作業時間、工賃などについて。
- 利用条件: 利用できる障害種別、年齢制限、居住地などの条件について。
- 利用料金: 利用料金や、その他にかかる費用(食費、送迎費など)について。
- 送迎サービス: 送迎サービスの有無、利用方法、範囲などについて。
- 実績: 就労実績、利用者の定着率、就職実績などについて。
- 雰囲気: 事業所の雰囲気、利用者同士の関係性、スタッフとの関わり方などについて。
個人の状況に関する相談
- 自身の障害: 自分の障害が利用対象となるか、どのような配慮や支援を受けられるかについて。
- 体力や能力: 自分の体力や能力に見合った作業があるか、無理なく続けられるかについて。
- 目標や希望: 将来の目標や希望、事業所を利用することでどのようなことを実現したいかについて。
- 不安や悩み: 事業所利用に関する不安や悩み、人間関係や将来への不安などについて。
その他
- 体験利用: 体験利用の可否、期間、内容などについて。
- 利用開始手続き: 利用開始までの流れ、必要な書類、手続きにかかる時間などについて。
- 見学後の疑問点: 見学会で説明された内容について、さらに詳しく知りたい点や疑問点について。
まとめ
本記事では、利用者を集めるための「見学会」について説明させていただきました。
見学会は、利用希望者が安心して利用を検討できるよう、様々な情報を提供し、不安を解消する絶好の機会だということをご理解いただけたのではないでしょうか。
しっかりと準備をされた上で、積極的に見学会の実施することをおすすめします。